Design of Golf course  Course Renovation

加古川ゴルフ倶楽部 17HLコース改造工事

加古川は大谷光明氏の設計で、昭和32年に開場した。その後クラブ独自のスタッフによる改造工事が長年にわたり行われる中で、当初のルーティングは大分変化してきた。そして、2003年に大橋一元氏の改造設計、小林祐吉氏監修により、ワングリーン化へのグリーンの大改造を行った。私も当時、施工者サイドで大橋氏の原設計からの施工図面を担当し、現場指揮を取る事となった。メンバーはもとより訪れるゴルファー達の評価は高く、格式を重んじる名門倶楽部である。

 

 この17番ホールは比較的距離の長いBT-435Yd、RT-390Ydのパー4である。

 倶楽部のこのホールへの懸念は、単調な打ち上げのPar4で左林帯がうっそうとして、右の法面との景色の中で、暗い窪地のホールイメージが全体の流れの中で今一つのホールという感があった。それと、左林帯からの法面尻に配されたカートレール上に転がり落ちたボールへの救済として、ドロップする場所が無い事であった。つまり、法面がすぐに取りついており、後方線上にスペースが取れない状況であった。更に、FWのランディングエリアについて、200Yd以下の飛距離に対して、セカンドは打ち上げが10m程度となり飛距離によるハンデがやや強い事が懸念されていた。その様な状況を払拭する為の改造工事の依頼となった。

 その発端となったのも某ゴルフ史家がこのクラブを訪れた折の助言が大きかったようである。

『全体の18ホールの中でこのホールだけはつまらない。ただ真っ直ぐな打ち上げで谷底を縫うようなホール。これは少しドックレッグのイメージをプレーヤーに与えると面白くなるかもしれません。』(氏の言葉を直接は聴いていないので正確ではないが、このような話だったらしい。)

 

 私は当時の理事長から相談を受けることになった。

私の結論として、右手前にクロスバンカーを配し、左側にサイドバンカーを配することでこのホールがダイヤゴナルをイメージできる形とした。また、カートレールの位置の問題もあったことで、左にある林帯を思い切って伐採し、そのエリアの土を切土し、FWの低みに盛土するという方法論となった。カートレールの法面側に法尻から2m程度のほぼ平面的なエリア(5%程度の傾斜面でドロップしても転がらない程度の)に、カートレールを移設した。

 

 このバンカーのセッティングにより、右手前の大きなバンカーをターゲトラインとして狙うか、左に刻んで安全に攻めるかという選択肢をティーから明快に見せることが出来た。プレーヤーの攻略イメージを漠然とではなく具体的かつ積極的にイメージさせる事が狙いである。その右のバンカーの左側では、FW盤が1.8m嵩上げとなり、今までピンフラッグがやっとだった視界が根元まで見通せるようになった。更には、カートレールの左側でドロップしてもほぼピンフラッグは見通せるものとなった。IP地点のFW幅は38mとなりその幅をどう使うかは、プレーヤーに委ねられる事となった。

 

また、グリーン周辺も多少手を加える事となった。

大橋氏の改造の意図を尊重しながら、若干の変更を加えた。

着工前
着工前
完成
完成

グリーン周辺の修正改造 が再検討されました。

 ・ 左バンカーの底の高さが今まではレベルないし若干上がっていた。

  それを、1.5m下がった盤に設定しなおした。

 ・ グリーンのピンポジションを増やす目的もかねて、若干面積的に小さかった事もあり

  左バンカー越えのエリアでグリーンの拡張を行った。

 ・ 右サイドには管理道路とクスやカシノキの大木がありトラブルショットが起き易く、

  落ち葉が年中絶えなかったこともあり、それらを一掃した。

 ・ 右サイドのバンカーへの出入りの高低差が年配者には急すぎた為、

  それを極力フラットな状態にもっていった。

Green周辺 着手前 G右奥から
Green周辺 着手前 G右奥から
Green 着手前 G右 クスなどの木々が旺盛である
Green 着手前 G右 クスなどの木々が旺盛である
Green 左サイドバンカー
Green 左サイドバンカー
右の木々は伐採され明るくなった
右の木々は伐採され明るくなった
味のあるポットバンカーはそのまま
味のあるポットバンカーはそのまま