Design of Golf course/ Green renovation

基本計画図

IPからの現況写真
IPからの現況写真
現況を重ねた図面
現況を重ねた図面

原型 改造前

 

現況のGreenとBunkerを改造平面に重ねています。

色を付けているところが改造前のグリーンとバンカーです。

右グリーンが今までのメイングリーンでした。

完成予想図
完成予想図

図面を基に完成予想図として書いたスケッチ。

実際には、グリーン面はここまで見えてこないと予想されますが、あえてはっきりと見せて書いています。右のバンカーのマウンドトップはこの絵の表現までは上がらないと思いますが、多少強調して書いています。その他、実際とは多少異なることを前提として見ていただきたい。

 

ここまでの準備をして、施工に当たります。

施工段階の監修の中で、図面とは変わってくることが常です。

 

左は比叡-9番ホールの改造プランです。

クラブの運営上、現行グリーンを工事期間中に使わせたいという要望のため、右側の150㎡程度をそのままの状態としています。

このホールは、18ホールのトーナメント競技開催に向ければ、最終ホールと想定できます。長いミドルホールで、200YDを超えるショットを要求するホールに対してグリーンは小さく両サイドに分かれ、そのすぐ脇に迫るOBラインも気にかかるホールでした。

 

 

グリーンへの視角上で訴え掛けるバンカーと起伏のありようがゴルファーのショットへの期待感と集中力を高めます。

 

 

グリーン改造の基本設計  ケーススタディー 申請業務の為に必要な流れ

西宮CCNo.12HLの図面を例として、具体的な図面の流れを説明します。

ここでは、正式な許可申請を前提とした一連の流れをご紹介します。

 

また、施工金額を算出するにも、このレベルでのしっかりした図面は必要です。

最も重要になるのは、排水計画が網羅されているか?それが作ろうとするデザインをカバーしているかです。現況をしっかりと抑えた上で図面を完成させることです。でなければ、バンカーなどをもっと低くしたいときに排水勾配が取れないとか、下流側の排水管を入れ替えなければならなくなるといったものが、理解されないまま進む可能性があるからです。

 

 設計家ごとに図面の書き方は異なります。現場の施工者が戸惑わないですむか、設計家のタッチを熟知しているかで書き込む内容も異なるでしょう。

しかし、申請業務を兼ねる場合はこのようなスタイルでなければ、土量計算は不可能です。

私は常にこのパターンで表現するようにしています。

現況測量図 Oliginal
現況測量図 Oliginal

1.現況測量のデータより現況図を作成します。

 

一連の図面は1/300の縮尺です。(ほぼA3に納まります)

グリーンの中は10cmコンターラインで外周は50cm単位が妥当です。

グリーン外周まで広めに取っておく必要があります。

 

私は、この図面の精度は非常に大事だと考えています。

この時点で、現況の排水系統がどうなっているかをしっかりと把握しておかなければなりません。

 

この図面が正確である事で、施工範囲が明確になり、必要以上の無駄な手間を掛けずに済む事となります。

改造計画平面図 Remodering Plan
改造計画平面図 Remodering Plan

2. 様々な検討を経た後、造形計画図が出来上がります。

 

外周のオレンジのラインは、施工境界を示しています。

よって、Green Bunker FW RF の面積が明確になります。 

同時に、この段階で表面排水の桝の位置が定まります。

全ての作業がこの図面をもとに明快に決定されてゆきます。 

 

現況図でのグリーンの10cmコンターラインと比較すれば分かるように、ベントの管理技術が進化してきた現在では、アンジュレーションのあり方はゆるくなってきています。現況の様にきついコンターではピンポジションはかなりタイトでした。

横断面図
横断面図

3.縦横断図の作成

 

土量算定の為、縦横断図を描き、それを元に土量計算書が作成されます。

 

排水計画図
排水計画図

4.排水計画図の作成

 

この図内の茶色の線は、表面排水の流れる境目を表し、それが、所定の桝に流れ込み流末に流れる事を表しています。それぞれの、配管に対して、流量を排水できるかの検討には流量計算書が必要になります。

 

申請業務の際、最も注意深く検討されるのは、この排水計画になります。

この排水計画段階で、新しい調整池が必要になる事も十分にあり得ることですので、注意が必要です。

芝地から芝地にかえる場合は問題はあまりないのですが、林地を芝地にかえる場合は流速が増しますので、現行の流末配管を大きくしなければならないケースが多いと思います。


近年の大雨災害を元に規制の降雨強度(1時間当たりの雨の強さ)

は180mm/hを基準にする指導が多くなっています。開発当初は120mm/hであったものをその数値まで上げる場合、調整池の拡張・増設が必要になるケースが改造面積の大きさによっては出てきますので、十分注意しなければなりません。