昨今の現場事情 Nov.2014
たまに、昔の工事仲間と酒を飲むと良く出る話である。
今は、工事が本当に少なくなり、若い技術者が育たないし、育てる環境がない。
造成工事ラッシュにわき立った当時、若いやる気のあるやつを見つけると・・・
『おい、そのブルであそこを均してろ!』といい、一日中それも何日も無駄と分かっていながらも、乗せて覚えさせることが出来た。『それがあったから、今の俺があるのだがな』というその彼はもう還暦間際だ。その人との言葉をもっと借りよう。
『工事金額が少なくなった今、昔のように予算にはゆとりがない。』
『仕事を覚えさそうにも、こっちがやらなきゃ儲けなど出やしない。赤字までして覚えさせることはできない。』
『ちょいと、見込みがありそうなのがいたとしても、仮に身について腕を上げても年間を通じてゴルフ場の工事は今は無いから、結局は土木工事に体を取られ、いざというときにはゴルフ場の改造工事からは遠ざかってしまう。』
『ブルドーザーまで使ってするような改造工事も少ないから、まづこれからブル乗りは育たんだろうな?』
『それよりなにより、今の若いもんは、怒ったらすぐ来なくなる。だから、無理! お願いして来てもらうんだ・・来てくれたら簡単な仕事をしてもらい、こっちがいつまでもユンボやブルにいつまでも乗ってなきゃいけない。まいるぞ~』
などなど、愚痴が止まらなくなる。
その彼のような何でもこなせる技術者は本当に少なくなっている。この関西においても、名前を上げれば10人といない。それが現実である。
よって、多くのゴルフ場で、補修や改修、改造に渡って、施工現場には道路工事業者や一般土木業者など、ゴルフ場専門の工事会社はなかなか見かけなくなっている。
結局は、高い工事金額の割には良い工事になっていないか、安かろう悪かろうになっている話をよく聞く。
私は、設計を本格的にする前には東京でいわばゴルフ場造成の専門会社だったF社でゴルフコース作りの擒になったわけだが、その会社も今は姿かたちを変えている。そういう会社は多く、その酒飲みの友人も、そんな会社にいた『残党』である。
細々と仕事を続ける日本全国に散らばった、その残党達はもはや還暦、あと何年続けられる・・・?
この先を思うと誠に悩ましい。