2024年に沖縄の琉球ゴルフ倶楽部で改造工事を行いました。沖縄やハワイ、グアムなどの小さな離れ小島では土そのものが造成工事においては非常に貴重な資材です。そしてその土そのものの性質つまり土質が施工上手間や工事工程の部分で差異を生むことになります。
あらゆる地域で、様々な特性を持つ土壌が存在します。言い換えれば造成工事においては良い土壌と悪い土壌では工事費はもとより、メンテナンス上も費用や芝の状態に影響があります。
沖縄での土は赤土です。それ以外はコーラル(サンゴが石化したもの)性の岩やコーラル交じりの非常に硬い土壌があります。赤土が採取できるエリアは限定的で沖縄中部から北部にかけてのエリアで沖縄全土ではないようです。シルト分が多く水を含むとそのような土壌は豹変しいくら転圧をしてもすぐに柔らくなり形状は変形し、乾燥するとコンクリートのようにカチカチに硬くなります。
一方で、日本において経験した中でベストな地域は相模原周辺の黒土の土壌と思います。水はけがよく、養分が豊富で造形するにしても作りやすく小石すら混じっていない素晴らしい土壌だと思います。
千葉県下では山砂の土壌がありました。水はけは良いのですが雨降りの時などは表面がすぐに流れてしまう土壌です。作りやすいけれども壊れやすいといった感じです。
新潟は粘土質の土壌が殆どでした。地元の方は土の事を『ドロ』という人が多かったと記憶します。重機がなければそのドロを扱うことは到底できません。
関西地方も比較的粘土層が多くその下の泥岩(俗にいうアオタン)には悩まされます。一方で、真砂土の層もあり、関西での主な仕上げ用の客土はその真砂土が使用されます。関東では真砂土の層はあまりなく、黒土や山砂などが比較的に多いと思います。
転じて、コースに植生する松について話をすれば、関東の黒土の層に点在する松は高さが出ます。一方で関西の粘土層や礫層に自生する松は幅が出ますし、根上がりといい、地面上に根がはびこってきます。要は値を下に下ろせず根が上がってきます。関東では直根(ちょっこん)といい、深く根を挿すもものもあります。樹木は枝の横幅分根があると言われます。下が固いと根は横に伸びてゆくしかないという事です。そのことから、芝生も同じように黒土土壌の芝は根を深く挿しますが、真砂土や砂質系の土壌ではそれほど深くは根を下ろさない傾向があります。メンテナンスのやり方を見ても、関西ではFWの目砂が必要とされていますが、黒土土壌のコースでは砂を嫌い、あえて目砂をするコースはあまりないようです。
近年では造成工事に使用する良質の客土が不足しています。それは工事金額にも跳ね返りつつあり、輸送コストの大幅アップも加味され、土木土砂資材は高価な時代に入ってきたように感じる今日この頃です。
2024年9月